本研究は、三井越後屋(以下、越後屋)を事例として、三都商業資本の地方展開と、在地商人の商業活動との関係性を双方向から検討し、地域経済の変容の中で双方が如何なる影響を及ぼしたかを明らかにすることを目的とした。まず三井文庫史料から越後屋の鳥取木綿仕入に関する史料の整理・分析を行い、次いで鳥取県内の資料館・博物館所蔵史料の調査・収集・整理を行った。越後屋の史料の分析を通して、越後屋の仕入量や仕入価格、在地商人との仕入競合、在地商人への金融面での影響力など、仕入に関連する活動実態を明らかにできた。また、地方の史料の分析を通して、在地商人の現地での仕入活動や上方への木綿送付の具体像などを明らかにできた。
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