平成28年度は各所でこれまでの研究成果を公表することが出来た。具体的には第32回平安京・京都研究集会において「近世大名家の京都における活動と京都屋敷」と題して、日本史研究会2017年1月例会において「近世武家社会における「両敬」」と題して、それぞれ飯田藩堀家を事例とした研究報告を行った。また飯田市が主催する第14回地域史研究集会において「近世後期の飯田藩政‐その展開と課題」と題する報告を行った(『年報15号に掲載)。加えて飯田市歴史研究所において、京都精華大学の齊藤紘子氏を招請し、「飯田・下伊那の領主たちと地域社会Ⅱ」と題するワークショップを開催し、「生類憐みの令をめぐる飯田藩と村々」題して報告を行った。 これらの成果により、南信州(主に飯田・下伊那)における領主たちの動向が明らかになり、近世の地域社会において領主たちの動向がどのような意味を持ったのか、領外地域において領主たちはどのような活動を行っていたのか、という点について明らかにすることが出来た点に大きな成果があったといえよう。ワークショップにおいては、齊藤氏による伯太藩をはじめとする畿内との比較等を念頭においたコメントを踏まえた議論により、本研究の意味や方向性を再確認するとともに、当該地域における飯田藩の動向とその特質について明らかにすることが出来た。 また28年度は、飯田・下伊那の領主に関する史料以外にも、その比較対象として他地域における領主に関する史料を収集し、比較検討を行うことも出来た。具体的には名古屋大学附属図書館や名古屋市蓬左文庫における高木西家および高木東家による史料の調査等である。これらの調査によって、飯田・下伊那の領主を検討する上で、その比較対象となる領主の史料を収集し、分析することが出来た点で大きな成果があった。 総じて昨年度以来の研究成果を公表でき、一定の成果を得ることができたといえる。
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