研究課題/領域番号 |
26770245
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
二宮 文子 青山学院大学, 文学部, 准教授 (40571550)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 南アジア / インド / イスラーム / 聖者廟 / 英領インド |
研究実績の概要 |
2015年9月に南アジア学会、同年12月に九州史学会において、2014年度のインド共和国での文書調査によって入手した英領時代の文書を用いて研究発表を行った。これらの成果によって、本科研が主要な調査対象としているサーラール・マスウード廟に関して、英領時代の財政状況と、当時廟の運営管理を行っていた人々についての基礎的な情報、1860~80年代にイギリス行政が進めた廟の管理体制の変更のあらましが整理できた。また、研究の方向として、イギリス行政官側の、廟自体やそれを運営する人々についての認識やそれに対する干渉という、新たな視点を加える必要性が認識された。このような視点を持った研究は、インドのヒンドゥー寺院に関しては豊富だが、ムスリム聖者廟の例は少なく、事例研究として価値を持つ。これらの比較のために、英領時代のヒンドゥー寺院の状況や、宗教施設にまつわる法整備、行政の状況についての先行研究を収集・分析した。当面、これらの情報をもとに、英領時代の状況についてさらに研究を進めていく方針である。英領時代に関しては、20世紀初頭の訴訟文書が存在することが確認されたため、廟の運営に関与した集団の性質や関係についてより詳細な分析が可能になることが期待される。なお、サーラール・マスウード信仰の前近代の様相に関する研究材料となる17世紀のペルシア語作品(未刊行)の写本所蔵状況についての調査も行った。 昨年度はフィールドワークを実施できなかったが、昨年12月に現地協力者の一人が来日した際に面談し、今後の方針や現地の状況について話し合いを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度もフィールドワークが行えなかった。理由は、現地協力者が提示した日程(調査対象の祭事)が、申請者の本務校の入試業務と重なっていたため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究文献調査によって、前回の現地文書調査で参照していない、サーラール・マスウード廟を巡る20世紀初頭の訴訟文書がウッタル・プラデーシュ州立文書館に所蔵されていることが判明したため、今後の文書調査の対象とする。フィールドワークに関しては、サローンでの調査と、サーラール・マスウード信仰が見られるデーワ周辺の調査を遂行したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、現地協力者とのスケジュール調整が上手く行かずインドでのフィールド調査が行えなかったため、海外旅費に使用する予定だった研究費が使用できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の夏期休暇と春期休暇に、現地での文書調査とフィールド調査をやや長めに行う。
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