研究実績の概要 |
2017年8月16日から27日に、インド共和国でのフィールド調査を行なった。今回は、1924年にSalar Mas`ud廟の運営委員会によって出版された廟の運営規則集の発見を主要な目標とし、バフライチ、ラクナウ、アリーガル、デリーを訪問した。しかし、この文献は、バフライチにある廟の運営委員会事務所と図書館、ラクナウの州立文書館やワクフ委員会本部の資料室、アリーガル、デリーの主要な図書館のいずれにも所蔵されておらず、1980年代にこの文献を参照したインド人研究者とはコンタクトが取れなかったため、目標達成はならなかった。その他、アリーガルではデリー・スルタン朝からムガル朝期のペルシア語スーフィー文献の写本を数点確認した。また、デリーでは書店で関連文献を購入した。 2017年9月23日には、日本南アジア学会第30回全国大会(於東洋大学白山キャンパス)にて、2017年3月に行なった文書調査の成果のうち、1890年代から1901年にかけての廟の運営体制再編の経緯と、その結果成立した新規則の内容を取り上げて「英領時代北インドにおける聖者廟の運営規則制定を巡る問題について」と題した研究発表を行った。 2018年7月4-5日には、International Conference on History and Governance of Awqaf in India and Malaysia: Colonial Interventions and Modern States((於International Islamic University Malaysia, Kuala Lumpur)にて、2015年9月に行った発表「19世紀北インドの聖者廟の資産についての分析」と、2017年3月の発表の内容を合わせた研究発表(表題Religious Endowments in South Asia under the Colonial Rule: A case of Dargah Salar Mas`ud)を行う。この学会後に、発表原稿に基づく英文論考が出版される予定である。
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