(1)公刊資料中の中朝貿易関係資料調査 朝鮮と清の公刊史料について収集と分析を行い、朝鮮側は『朝鮮王朝実録』、『承政院日記』、『備辺司謄録』、『通文館志』などを調査したほか、『瀋陽日記』影印版を購入して調査を進めた。また文集類についての調査も進めた。これらの調査を通じて、以前より調査していたデータを修正することができ、『朝鮮学報』および『朝鮮史研究論文集』において朝明間における朝貢と開市に関する論文を発表し、清代の朝清間貿易を考える基盤作りを行うことができた。 (2)台北における資料調査 5月に台北に出張して未公刊の中朝貿易関係資料調査を行なった。時間の制約から、故宮博物院図書文献館における『上諭档』などのデータベース調査および『清実録』原本調査、書店での公刊資料の収集を行なうに留まった。1の調査の結果と合わせ、『アジア遊学』に1628年から1636年ごろまでの後金と朝鮮との貿易関係に関する論文を掲載することができた。また10月に開かれた 韓国朝鮮文化研究会大会で「17世紀中葉朝鮮王朝による対清貿易の開始について」という口頭発表を行い、韓国朝鮮文化研究会での報告内容を修正して『内陸アジア史研究』 に1637年から1644年までの朝清貿易に関する論文を投稿し、査読の結果掲載が決定した。 (3)関西と韓国における資料調査 9月には関西大学図書館内藤文庫蔵の朝鮮北部における対清関係の文献調査を行なったほか、3月には京都大学附属図書館河合文庫収蔵の文集類に関する資料調査を行うことができた。冬季休暇中に韓国での資料調査を予定していたが、3月に時期を変更し、訪問先をソウル大学校奎章閣に限定して文集類の資料調査を行なった。
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