研究課題/領域番号 |
26770252
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
菊地 重仁 青山学院大学, 文学部, 准教授 (80712562)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヨーロッパ中世 / カロリング期フランク王国 / 文書形式学 / 書簡 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトの2年目にあたる2015年度は、引き続きカロリング期の国王文書・私文書・書簡などの史料の分析を行うことと並行して、関連研究を吸収消化することに時間を割いた。夏季休暇を利用して渡航し、ドイツ・ミュンヘンの大学図書館やMGHを利用できたのはこうした作業の進展において大きな意味があった。また史料分析にあたっては、本研究の主な対象であるカロリング朝君主にまつわる文書をより広いパースペクティブから分析するため、研究協力者である仲田公輔氏(東京大学/セント・アンドリュース大学)の助力を得て、同時代のビザンツ皇帝関連文書のデータをも収集し、史料状況の確認と翻訳などを行った。またとりわけ文書形式学・古文書学に関して広く研究文献を渉猟する過程で得られた史学史的考察を公にする機会を持つことができたのは、本研究の副産物と位置付けることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力者の助力もあって史料の調査を広い範囲で進められ、研究文献の調査や論文原稿の執筆にも進展があったため、研究が滞っているわけではない。しかし2015年度に関しては研究機関の異動などもあったため、史料調査に基づいた研究成果を学会報告や論文の形で公にすることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2016年度はカロリング期の文書・書簡などの史料の体系的な分析を完了させた上で、研究成果を公にすることが主な作業となる。最終的な成果を論文としてまとめる前に、まずは5月末の歴史学研究会大会において、カロリング期の政治的コミュニケーションにおいて書簡が果たしていた機能を分析する報告を行う。また年度末までには書簡を主な史料としてカロリング期の政治状況を概観した総論的論考も執筆する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
文献資料は主にユーロ圏から購入しているが、2015年度中に発注したものの、版元の都合により年度内に届かなかった書籍などがあったこと、またユーロ為替の変動により少々の余裕ができたことにより、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
上述の通り研究計画の変更によって次年度使用額が生じたわけではないため、補助金全体の使用計画に変更はもたらされない。2015年度の残額の多くは2015年度中に発注し新年度になってから届いた書籍の代金に充てられる。為替変動によって生まれた分の小額は、2016年度の書籍購入費に組み入れることとする。
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