研究実績の概要 |
本年度は、第一に昨年度にマニュスクリプトの調査を実施したケルソー修道院(Adv.Ms.34.5.1)、アバディーン司教座教会(Adv.Ms.16.1.10)、マリ司教座教会(Adv.Ms.34.4.10)のカーチュラリについて、持ち帰った写真をもとに内容の分析をすすめた。 また、年度末に最後の海外調査を実施し、新たにスートラ・ホスピタル(Adv.MS.34.4.1)のカーチュラリのマニュスクリプトを調査したほか、これまでに調査済みのマニュスクリプトのうち、重点的に精査が必要だと判断したメルローズ修道院(Adv.MS.34.4.11)、スクーン修道院(Adv.MS.34.3.28, Adv.MS.34.3.29)、ニューバトル修道院(Adv.MS.34.4.13)、バルメリノ修道院(Adv.MS.34.5.3)のカーチュラリについて、それぞれ追加の調査を実施した。 以上により、当初目的としていたカーチュラリのマニュスクリプトの調査と内容の分析をおおよそ成し遂げ、中世盛期のスコットランドにおけるカーチュラリ作成の実態について、その概要を把握するに至った。 また、とくにメルローズ修道院については、異なる時期に作成された二つのカーチュラリに加えて、それらに複写された証書の原本の多くが現存している希少な事例であり、さらに徹底した調査の価値が認められるため、カーチュラリとすべての証書との照合作業を進めながら分析を継続している。
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