本研究の目的は,前近代の三陸地震津波の実態とその後の人々の対応について,考古学の立場から明らかにすることである。これまでに蓄積されている発掘調査データをフルに活用し,その再検討を通じて,立体的に復原する。 津波堆積物研究の成果等を参考にしながら,過去の発掘調査データを整理した結果,縄文時代中期,弥生時代中期,9世紀に集落の衰退・移動現象が確認された。一概に比較はできないが,3.11浸水限界内・付近で営まれた集落の形成が弱まり,それまで続いていた集落は潰える。次世代の集落は標高の高い丘陵上で検出され,廃絶+高台移動がパターンをなす。
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