研究課題
平成26年度予定の実施計画には,考古遺跡の発掘調査と黒曜石原産地地質調査を実施するとした.長野県霧ヶ峰地域,および,隠岐島後地域でこれらの調査をした結果,いずれの地域においても新たな遺跡の発見,そして黒曜石原産地の発見があり,及川ほか(2014)島根県考古学会誌,及川ほか(2015)資源環境と人類,にて報告した.これら調査を踏まえ,黒曜石試料の機器分析をさらに実施した.霧ヶ峰地域の黒曜石は,すでに明治大学黒耀石研究センター設置の波長分散型蛍光X線分析装置にて定量分析を実施し,その結果の一部を,隅田・土屋(2015)資源環境と人類,にて報告した.一方,隠岐島後地域の黒曜石も同様,波長分散型蛍光X線分析装置を用いた定量分析を実施済みである.現在,この成果をまとめている段階にある.さらに,これら定量分析を実施した黒曜石を用いて,明治大学黒耀石研究センター,および,島根県古代文化センターにて,エネルギー分散型蛍光X線分析装置を用いた非破壊法による定性分析を実施した.現在,霧ヶ峰地域の広原遺跡から出土した石器試料1点について,定量分析と定性分析を実施し,原産地の試料との元素組成の比較による産地解析を実施した.定量分析値に基づいた産地解析の手法と結果については,隅田・土屋(2015)で報告し,定性分析値に基づいた産地解析においても,定量分析によって得られたものと同じ結果を既に得ており,この手法を隠岐島後の例と合わせながら,確立していく見通しが既についている.
2: おおむね順調に進展している
おおむね,計画書通りに,考古学的な遺跡の発見と,黒曜石原産地の地質調査が終了している.
波長分散型蛍光X線分析装置を用いた黒曜石製石器の産地解析の手法を確立し,具体的な石器の産地解析を進めていく.同時に,原産地試料の共有化と手法の検証について,明治大学黒耀石研究センター,ならびに島根県古代文化センターの装置を用いて,実施していく.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件)
資源環境と人類
巻: 5 ページ: 65~82
ISSN 2188-3483
巻: 5 ページ: 117~136
島根考古学会誌
巻: 31 ページ: 1~23
ISSN 0910-0571