研究課題/領域番号 |
26770271
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
城倉 正祥 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (90463447)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 東アジア / 古代都城 / 隋唐 / 都市空間 / 里坊 / 造営尺度 / GIS / 衛星画像 |
研究実績の概要 |
本研究では隋唐都城の都市空間(里坊)に注目し、その構造と東アジアへの展開過程を考古学的に明らかにする。具体的には、里坊出現期の魏晋南北朝から完成期の隋唐都城を対象とし、発掘遺構の分析に基づく造営尺を踏まえ、GISの地理情報空間の中で都市空間を復原する。その後、隋唐都城と渤海上京城・日本平城京との比較から東アジアへの里坊制の展開過程を考究する。 本研究の初年度である平成26年度は、里坊出現期の北魏洛陽城・北斉ギョウ城の分析を中心として研究を進めた。まず、両都城の発掘調査概報を悉皆的に収集し、文献リストの作成、及び論文のPDF化を行い、発掘遺構の分析から尺度の析出を行った。その作業によって、魏晋南北朝期の造営尺が従来から指摘されているように24cm前後から30cm弱まで漸増する点を確認した。その成果を踏まえて、ArcGISによる空間分析に進んだ。北斉ギョウ城は里坊を示す痕跡が未だ発見されていないため、今回は北魏洛陽城のPleiades衛星アーカイブ画像を購入して分析を行った。購入したPleiades画像とSRTM30をDEM化して作成した等高線図を合成した地形図に、『洛陽伽藍記』に記載される里坊の情報と遺構分析から析出した北魏尺を踏まえた推定里坊をプロットし、「GIS復原図」を作成した。以上の国内作業を踏まえて、8月14日~9月12日に長期の現地踏査を行った。中国社会科学院考古研究所の漢唐研究室に協力頂き、北斉ギョウ城・北魏洛陽城の重要遺構の所在を現地で確認した。特に、現在調査中の北魏洛陽城の太極殿の発掘現場を視察できた点は重要な成果だった。現地踏査によって、GISによる里坊復原の精度を高めることができた。 以上、平成26年度は、研究計画に基づいて魏晋南北朝期の里坊制の復原を行い、北魏洛陽城の精度の高い里坊復原に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の「研究目的」で記載した平成26年度の計画では、里坊出現期の北魏洛陽城・北斉ギョウ城の分析を予定していた。実際の研究では、両都城の現地踏査を実施すると同時に、遺構図面の悉皆的収集と造営尺度の析出、それを踏まえたGIS分析を実施できた。以上の状況から、おおむね順調に研究は進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題はほぼ順調に進展している。そのため、当初の計画通り、平成27年度は隋唐長安城・洛陽城、平成28年度は隋唐揚州城・日本平城京、平成29年度は渤海上京城の分析を進め、隋唐都城の里坊制の構造的特徴を明らかにし、その東アジアへの展開過程を考究していく。国内での文献収集・遺構分析・GIS分析と、国外での現地踏査を順調に進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入費の残額があったため、繰越金とした。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越金は物品購入に使用する予定である。
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