本研究は,災害に脆弱な広義のマイノリティによる防災への参加に焦点を当て,災害弱者の防災減災の取組における包摂過程やその課題について明らかにした。過去に大規模な災害を経験したアメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズとカリフォルニア州サンフランシスコでのフィールド調査を通じて,当該都市における都市再編(ジェントリフィケーションや居住地分化)と災害リスクとの関係性,コミュニティ防災の近年の実態や課題を把握し,多元的背景を有する市民によるインクルーシブな災害リスクに対する都市ガバナンスの実態と課題,それらが都市空間の再編成に与える影響等につき地理学的視角から検証した。
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