本研究の目的は、高度経済成長期に誕生した計画的な都市郊外空間の変容と、そこに展開される住民の日常生活における実践を、男女の性別役割分業といったジェンダーの視点から明らかにすることである。少子高齢化や自治体財政の緊縮化などで転機を迎える郊外空間においては、「男性=勤め/女性=家事・育児」といった近代核家族の概念に下支えされた性別役割分業が終焉を迎えつつある。本研究では、こうした過渡期にある郊外空間を、これまで看過ごされてきた住民のジェンダー役割の再構築をめぐる日常実践、特に、女性や高齢者に期待される地域への「参加」に注目をしながら明らかにした。
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