研究課題/領域番号 |
26770290
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森田 剛光 名古屋大学, 文学研究科, 博士研究員 (80650093)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ネパール / 移民 / 外国人労働者 / 移住労働者 / 在日外国人 / 社会調査 / 文化人類学 / エスニシティ |
研究実績の概要 |
本研究は、近年、日本で増加するネパール人移住労働者を滞日ネパール人と名づけ、彼ら/彼女らの生活実践と労働動態を明らかにすることを目的とする。 この研究は、ネパール人と日本社会との永続的かつ良好な発展を希求し立案された。研究代表者が、研究開始以前から滞日ネパール人の増加にともなうコミュニティの変質と日本人との関わりの変化について、双方が事解する重要性を説き、全数調査の必要性をネパール人社会に提案してきた。 本研究は、質問票による悉皆調査の定量的データを用いた統計解析と対面インタビュー、ライフヒストリーの記述による定性的調査の分析と統合によって滞日ネパール人の生活状況に関する統合的理解の提示を目指す。 本年度は、本研究の初年度にあたり、全数調査システムを構築すべく、ネパール人有志との調査委員会の設置、協力者の組織化、調査項目の策定、調査方法の検討と準備に当てられた。駐日本ネパール特命全権大使、在日本ネパール大使館、在外ネパール人協会(NRNA)、ネパール商工会議所、新聞社・報道機関、各民族協会など、多くのネパール人有志の協力のもと委員会を設置した。調査項目の策定にあたり、政策の立案の基礎資料としての参照整合性から日本の国勢調査を基に、ネパール人社会の実状にあわせた項目を付加し、委員会にて検討した。諸外国で出されている人口調査・国勢調査の内、当該国で居住する外国人向けの調査資料を収集し、調査方法について委員会で検討した。加えて、質問票の配布、回収のフロー、個人情報を扱う上でのセキュリティのあり方について、関係者および関係団体と緊密な連携体制をとり討議を重ねた。 また、外国人移住労働者への調査研究を俯瞰し、本研究との比較検討を行った。 次年度は、質問票の配布とデータ収集の段階に移行し、すすめていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は、本研究の初年度であり、本研究調査を実施するにあたり、有志間での情報共有と合意形成、円滑にすすめるための協力体制の構築に多くの時間を要した。また、調査の規模と性質上、再調査が困難なため、質問票の項目の精査、策定に多くの時間を要し、研究の進捗がやや遅れている状況となった。あわせて有志からの要望が多いセキュリティ対策の見直しを図ることとなった。 現在、法務省による在留外国人統計の分析とネパール人移住労働者に関する文献の概説についての論文を執筆中であり、平成27年度中に学会発表を含むこれらの成果発表を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的を遂行するにあたり、多くのネパール人協力者、関連機関・団体から賛同と協力を受けられたことに感謝している。引き続きご協力いただけることを切望する。 基本的に計画通りに進めるが、平成27年度は、駐日本ネパール特命全権大使をはじめとする協力者、有志のネパール人による委員会メンバーから出された意見をもとに検討を加えた調査票項目の策定を完了させ、全数調査データの収集を開始する。データ収集の際に、質問票の配布と回収が円滑に進むよう、委員会の協力のもとネパール人社会に関わる様々な媒体を通じて告知し、調査への協力と質問票の回収率を上げるべく努める。あわせて、滞日ネパール人への対面インタビュー、ライフヒストリーの記述による定性的調査を続ける。また、本研究によって得られた統計データについて順次公表、共有化をはかる。 このほか、外国人移住労働者への調査研究との比較を含む、本研究の成果の蓄積と発表につとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の残金の大部分は、当初予定されていた質問票の印刷・郵送・配布に関するものであり、質問票の項目策定に時間を要し進捗が遅れたためである。その分の使途目的の支出は、平成27年度内に行う予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度前半に質問票の項目策定を完了し、質問票の印刷・郵送・配布を行う。しかしながら、調査の協力関係にある委員会のメンバーにより、webアンケートサイトの構築による調査手法の提案がなされた。マルチデバイス、多言語環境下でのフォームの制作、セキュリティ対策、およびデータ管理体制を考慮し、webサイトのみ、もしくは印刷された質問票を併用するかたちへと計画を変更する。その他の費目については計画通りに使用する予定である。
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