研究課題/領域番号 |
26770291
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
嶺崎 寛子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (50632775)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | イスラーム / 移民 / マイノリティ / ジェンダー / 越境 |
研究実績の概要 |
今年度は予定していた海外での現地調査が、現地の政治状況により中止に追い込まれ(インドとパキスタンの二国間のカシミール紛争によって現地情勢が緊張し、2月末から3月にかけて、パキスタンが空域と空港を閉鎖した)、海外調査研究という側面では、順調にいったとはいえない。海外調査はワークライフバランスとの関係上、日程調整に手間がかかり、ただでさえ簡単ではない。今回は、日程調整をした日程に紛争が重なってしまうという不運があった。しかし日本での調査は順調に行うことができた。 一方で、研究成果の公表は順調に行うことができた。訳書(共訳)1冊(ライラ・アブー=ルゴド、鳥山純子・嶺崎寛子訳『ムスリム女性に救援は必要か』)、論文一本(「ローカルをグローバルに生きる―アフマディーヤ・ムスリムの結婚と国際移動」『社会人類学年報vol 44 2018』pp.79-109)、研究ノート一本(「ムスリムとは誰か―ムスリムの周縁をめぐる試論」『お茶の水史学』第62巻)の、計3本を出版した。 特に論文と研究ノートの2本はいずれも、本若手研究(B)に直接関連する成果である。論文では、アフマディーヤ教団の女性信徒たちの結婚移動について、豊富な事例をもとに論じた。女性の国際移動や国際移動のジェンダー化に関連して、イスラーム地域研究や宗教研究、文化人類学に留まらず、ジェンダー研究に対しても新たな視座を提供しうる論考である。研究ノートでは、アフマディーヤ教団を事例として、ムスリムの境界線や周縁について、非ムスリム研究者の立場から論理的に整理・分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年は関連の論文1本、研究ノート1本、翻訳(共訳)で本を一冊研究成果を学術論文などとして公表し、広く世に問うことができたため。 ただし、海外での調査については、3月にパキスタンでの調査を予定していたが、2月27日から3月にかけて、パキスタンが空域と空港を閉鎖した関係でキャンセルせざるをえなくなり、計画どおりに行えているとはとても言えない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
海外調査の日程調整が課題だが、子連れ調査なども視野にいれ、海外調査に行くためのあらゆる努力をする。現地の治安などの安全情報の収集につとめ、状況判断を確実にしつつ、海外調査先を決定することにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に予定していた科研費によるパキスタン出張を中止せざるを得なくなったため、次年度使用額が生じた。理由は、カシミールをめぐってインドとパキスタンの国際情勢が緊張し、その関係で2月から3月にかけてパキスタンが空域を閉鎖したのに伴い、パキスタンの全ての空港が封鎖された関係で飛行機がキャンセルになり、出張そのものが不可能になったため。 座 残額は、夏にガーナで行うアフマディーヤ教団のアフリカ宣教にかかる調査にかかる旅費、および月は未定だがパキスタンでの調査にかかる旅費、研究に用いるノートパソコンの購入に使用する予定である。
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備考 |
2は1の、4は3の英語版。
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