2000年以降に本格化する中国の公共外交及び「ソフトパワー」論を背景に、中国政府の対外中国語教育の促進と華語教育への関与の状況および華人の公共外交への影響について明らかにした。さらに、国民国家を超えて展開される現代の「中華圏」における相互作用を、とりわけ、現地化の進んだ若年世代に注目し、彼/彼女らが中国とどのように出合い、目の前にどのような中国像が浮かび上がってくるのか、その諸相を明らかにすることができた。 「中華」の求心力、遠心力を冷静に見極めようとする若者にとって、「民族」「文化」はもはや中核にはならず、むしろ当事者はそれらから乖離していく現実がみえた。
|