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2016 年度 実施状況報告書

災害支援と贈与についての人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26770298
研究機関東北大学

研究代表者

加藤 睦 (山口睦)  東北大学, 東北アジア研究センター, 教育研究支援者 (70547702)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード災害支援 / 贈与 / 慰問袋 / 東日本大震災 / バレンタインデー
研究実績の概要

本年度は、東日本大震災後の贈与行為として、宮城県における手仕事ビジネス団体への支援の実相について調査を行った。支援の初期段階としては、食料や日用品などの生活に必要な物資が支援されるが、人々の生活が落ち着いたあとは、被災者自身が生活を立て直していく仕組みが必要とされる。その一つの実践が、主に女性たちを中心とした手仕事ビジネスである。これらの手仕事ビジネスは、どのように興り、継続的な事業へと成長し、地域社会に新たなコミュニティを形成しているのか。また、生産者(=被災者)、消費者(=支援者)、流通(=仲介・支援団体)などのアクターがどのように機能しているのかを宮城県の2つの団体(気仙沼市の毛糸販売団体、東松島市のソックモンキー製造団体)を取り上げて調査、分析を行った。
これらの事例からは、発足の始めのアイデア、技能、原材料、事業運営、IT、流通や販売の補助、代行など多様な外部アクターの「支援」が常に注ぎ込まれていて成り立つ活動であることが浮かび上がってくる。これらの手仕事ビジネスは、震災前の各個人の経験やスキルを利用しながらも、被災を契機として新たに発生したものである。そして、中心人物によるある程度強力なリーダーシップが発揮されている。商品は、思いつきや偶然から始まり、支援品などある物を利用して作り手の技能で可能な範囲で作られた。従来のコミュニティへの影響としては、各団体において数名から数十名程度の女性の雇用創出、明確な数字化は難しいがメディアの注目、訪問者の増加など事業があることによる地域の活性化があげられる。また、手仕事商品の流通を補助する団体として、みやぎ生協、NPO団体の調査を行った。調査の内容については、「被災地にみる手仕事ビジネスと新たな社会関係―宮城県を事例として」というテーマの論文として作成し、2017年度に発表予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

バレンタインデーの調査として予定していた北海道の製菓会社、愛知県の製鉄会社への調査が実施できなかった。理由としては、宮城県内における手仕事ビジネスの調査に時間を費やしたためである。

今後の研究の推進方策

今年度実施できなかったバレンタインデーに関連する調査の実施を期間延長申請を行い、平成29年度に行う予定である。その調査結果を加えて、私的贈与機会であるバレンタインデーを公的な寄付へと転換する事例についての論文を作成する。

次年度使用額が生じた理由

バレンタインデーに関連する調査が行えなかったために、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

バレンタインデーに関する調査として、北海道の製菓会社、愛知県の製鉄会社へのインタビュー調査を行う。そのための旅費として使用する予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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