本年度は、東日本大震災後の贈与行為として、昨年度に引き続き宮城県における手仕事ビジネス団体の活動について調査した。東松島市のソックモンキー製造団体のその後の活動についてデータを得た。活動拠点である仮設住宅の集会所が閉鎖され、駅前のプレハブが拠点となった。新たな活動拠点を建設するために寄付金を募っている。ソックモンキーの売上は、作り手へと還元され、新たな活動資金とするために、本の出版や県内のジーンズメーカーとの協働によりジーンズを販売するなど活動の幅をひろげている。 また、東日本大震災の事例を客観化するために、熊本地震の被災地における女性グループの活動について調査を行った。団体発足のきっかけは、シングルマザーの女性事業主が、地震後に仕事の発注が途絶えた一方で、物販は応援消費で1年分の売上をあげたことを知ったことである。熊本県内だけでなく、全国を相手に商品を売る仕事を始めようとした。彼女たちは、手作り品よりも一般的商品として売れるように、地元企業と協力して、阿蘇山のリモナイトを使った陶器アクセサリー、石けん、竹炭を利用した消臭効果のあるライト、ハーブティー・アイシングクッキーなどをブランド化して売り出した。また、地元の製紙・文具メーカーと協力して、造花キットを開発した。熊本県においては、東日本大震災の被災地と比べて女性の復興ビジネスはあまりみられないが、理由の検討は今後の課題である。 バレンタインデーを社会的弱者への支援活動に転換している団体の調査として、愛知県の製鉄会社へのインタビュー調査を行った。支援活動への転換のプロセス、社内におけるCSR(corporate social responsibility)活動の内容などについてデータを得た。
|