本研究では、20世紀前半以降の100年間の日本社会で行われたいくつかの災害支援の事例を検討し、近代日本社会において公的贈与の領域が拡大している様相を明らかにした。20世紀前半には、兵士への慰問袋が災害支援として流用されていたことがわかった。東日本大震災では、外部からのヒト・モノ・カネの多様な支援によって手作り復興商品ビジネスが被災地において多く興り、そのプロセスや構造を明らかにした。また、バレンタインデーの義理チョコを社会的弱者への寄付行為へと転換するなど、災害時だけでなく公的贈与の拡大が多様な仕掛けにより進んでいることがわかった。
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