(1)オーストラリア主流社会では、先住民とスーダン難民を白人の権威を脅かす存在として一括する黒人性(ブラックネス)という認識上のカテゴリーが形成されていた。両集団は黒人性をある程度内面化していたが、スーダン難民の間では、黒人性から距離を置き、膚の色以外での白人性を積極的に獲得しようとする動きが見られた。(2)その結果、多文化主義下での両集団に対する白人の評判において、主流社会への適応の努力という点で、先住民よりもスーダン人の方が勝っていたことが両集団間の緊張関係の一因となりつつあること、そのことが白人性のさらなる強化をもたらしていることが一定度明らかになった。
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