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2014 年度 実施状況報告書

帝政後期ローマ世界における法廷実務

研究課題

研究課題/領域番号 26780003
研究機関京都大学

研究代表者

粟辻 悠  京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 助教 (50710597)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードローマ法 / 法廷実務 / レトリック / 修辞学 / 弁護人 / 帝政後期
研究実績の概要

1.ローマ帝政後期における法廷実務において、最も重要なアクターの一つであった弁護人に関して考察を深め、論文にまとめた。具体的な内容としては、当時における弁護人団体の組織原理に着目しつつ、法廷の担い手であった弁護人の国家的な意義を考察したものである。この論文は、本研究課題にとっては今後の二年間にわたる検討の基盤の一つとして位置づけられるものとなる。この研究活動に関連しては、ローマの法廷実務やその担い手に関する史・資料として有益な書籍を科研費にて多数購入した。
2.本研究課題について、その検討の方向性を明らかにし、今後の研究活動の道筋をつけるための研究会報告を行った。具体的には、2014年12月に同志社大学において内外の研究者を招いて行われた、IGLP(Institute for Global Law and Policy)のワークショップ"Transformations of Law in the Age of Globalization"の若手セッションにて、"Advocates in the Later Roman Empire"と題する英語による報告を行った。ここでは、弁護人の有していたレトリックの資質に関する検討も行ったため、本研究課題との繋がりという意味ではより具体的な内容に踏み込んだものとなった。この研究活動に関連しては、とりわけローマにおけるレトリックに関する史・資料として有益な書籍を多数購入した。
3.2014年9月にナポリ大学にて行われたSIHDA(国際古代法史学会)に参加し、日本国内では希少な古代ローマの法廷実務に関する専門家を含む、多くの研究者と有益な意見交換を行った。
4.レトリック文献及びパピルス史料、及びそれに関する先行研究を含む多くの史・資料(その多くは書籍の形であるが、電子媒体で入手可能な海外の博士論文等も含まれる)を収集し、その読解を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要においても触れた通り、研究成果の部分的な発表を含めて、本研究課題の基盤をなす研究活動を順調に進めることができている。この事情は、ローマの法廷実務という研究課題の中でも、とりわけ弁護人に関する検討について当てはまる。
また、本研究課題の中心をなすところである、レトリック文献及びパピルス史料に基づいた具体的な検討についても、おおむね当初想定していた通りに、史・資料の収集及びその読解を進めることができている。それに関してはとりわけ、レトリック文献及びその先行研究の検討から得られた、以下の内容が重要である。第一に、帝政後期のレトリック文献を、それ以前の「黄金期」とも言うべき時期のレトリック文献(例えば、CiceroやQuintilianusの著作)の「劣化版」であるかのように捉えていた先行研究の議論について、その論拠や背景等も含めた理解を深めることができた。そしてそれらの議論については、実際に史料を検討することで読み取れたレトリック文献の実務的な内容や、法廷実務の担い手に関する検討から窺い知ることのできたレトリックと彼らとの実務における深い関わりからすると、必ずしも常に妥当するものではないであろうという認識が得られてきた。
史・資料の検討から得られつつあるそれらの知見を積極的に活用した研究成果については、検討がこのまま順調に進めば、二年目以降に順々に公表していくことが可能であろう現況である。

今後の研究の推進方策

当初の予定通り、継続してレトリック文献及びパピルス史料に関連する史・資料を収集するとともに、その読解を進める。レトリック文献についての検討も継続して進めつつ、二年目以降はパピルス史料についても、当時における法廷実務の現場に直結した視点から、検討をさらに深めていく必要がある。
また、一年目に比べて、本研究課題にとってさらに中心的な研究活動が進展する予定であることに鑑みて、より直接的にローマ帝政後期の法廷実務に関連した研究会報告を行うなどして、内外の研究者との間で有益な意見交換の場を持ちたいと考えている。その際には、予定していた通り、興味関心の重なる研究者が多数参加する海外の学会における報告も視野に入れておく必要がある。

次年度使用額が生じた理由

注文していた書籍が在庫切れにより届かず、年度の終了時にやむなくキャンセルに至ったため、次年度に繰り越すべき端数が生じた。

次年度使用額の使用計画

ごく少額であるため、予定通りの書籍の購入等により、使用することができると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ローマ帝政後期の弁護人における「年功」の意義2015

    • 著者名/発表者名
      粟辻悠
    • 雑誌名

      法制史研究

      巻: 64 ページ: 59-95

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Advocates in the Later Roman Empire2014

    • 著者名/発表者名
      粟辻悠
    • 学会等名
      Institute for Global Law and Policy
    • 発表場所
      同志社大学(京都府京都市)
    • 年月日
      2014-12-14

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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