本研究は,1980年代アメリカで批判法学運動(Critical Legal Studies)を主導したことで知られるRoberto Ungerの法社会理論の本質が,“批判法学制度派“という名で呼ぶにふさわしい,制度概念を機軸とした“社会変革・創造の知”の提案にあることを明かにしたうえで,このUngerの批判法学の仕事を,障害法学・民主的実験主義の法学その他の,市民社会・草の根の社会運動に定位した立場から法制度・法政策を論じる・今日の知的潮流に接続しようとしたものである。Ungerの仕事は紛れもなく法社会理論の本道である。だが説得性を高めるためには,他の知的潮流との対話を怠ってはならない。
|