本研究は、日本法において、習律を独立した規範カテゴリとして承認すべきか、つまり多元論を承認すべきか否かを問うものである。本研究では第一に、J. A. G. Griffithの政治的立憲主義の特徴を析出することにより、想定される多元論批判が当面しうる問題を特定できた。第二に、イギリス法実証主義に与するJ. Goldsworthyの憲法理論の特徴を浮き彫りにすることにより、法学方法論上、憲法と習律を区別すべき理由を解明できた。第三に、T. R. S. AllanやA. Heardの一元論の主張構造を吟味しそれとの対話を重ねることにより、多元論が当面すべき課題を特定できた。
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