研究課題/領域番号 |
26780013
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
木下 昌彦 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (90456096)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 表現の自由 / アメリカ憲法 / ルイス・ブランダイス / オリバー・ホームズ |
研究実績の概要 |
平成27年度は、平成26年度に引き続き、文献の収集とその文献の分析・研究を進めた。本研究課題は、Whiteny vs California事件のブランダイス反対意見の思想的背景とその理論内容を探るところに大きな重点を置くものであるが、ブランダイス反対意見の初期の草稿を入手し、その思想的背景の解明について研究をすすめることができた。また、ブランダイスは、イングランドの歴史家アルフレッド・ジマーンを介して、トゥキディデスの歴史、そして、そこで記述されたペリクレスの追悼演説から強い影響を受けたことが知られているが、ブランダイス反対意見とペリクレスの演説との関連についても分析・研究を進めることができた。加えて、これらの研究の過程において、ブランダイスが実験的連邦主義の立場を打ち出していたことに触れ、当初の研究計画としては予定されたものではなかったが、本研究課題の実現のためには避けては通れないという観点から、実験的民主主義の思想とその現代的展開についての研究もおこなった。現在、本研究課題の直接的成果は未公表であるものの、上記研究成果を基礎として、最終的な成果となる論文、『自由と時間-ルイス・ブランダイスが描く共和主義国家の理想』を執筆中であり、現段階で、7割型完成を見ている。ただ、ブランダイスに影響を与えたホームズ裁判官の思想、そして、ブランダイスとホームズの比較対照についてはまだまだ文献研究が不十分であり、平成28年度の課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Whiteny v. California判決におけるブランダイス意見の草稿がWebで公開されており、そこから有益な情報を取得することができたことなどの事情により、平成27年度においては、文献調査が比較的順調に進んでいる。ただ、他方で、研究の推移とともに、例えば、実験的連邦主義やジェファーソンの思想など、ブランダイスの思想を解明するうえで不可欠な課題も発見し、現在、新たな課題の解明も含めているところである。本研究課題の最終的な成果となる論文の執筆も順調に進んでおり、来年度の公表を目標に執筆を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
基本的な研究計画の変更はなく、文献の収集と分析についても、概ね達成することができたことから、平成28年度以降は、本研究課題の最終的な成果となる論文『自由と時間-ルイス・ブランダイスが描く共和主義国家の理想』を執筆し、発表を実現されることに集中する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の研究においては、国内で収集できる文献を中心に研究を進め、それによって当該年度においてはある程度研究を進めることができたことにより、海外での文献調査をおこなわず、そのため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、平成27年度には実施しなかった海外での文献調査、研究を実施する予定であり、さらに、平成27年度における研究の成果を踏まえて必要となった新たな文献収集に使用する予定である。
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