まず、政府の憲法解釈権の憲法上の根拠を検討するために、フランスにおける政府(大統領及び内閣)の憲法解釈権に関する議論を検討した。これについての検討は不十分であり、日本法への示唆を得ることができなかった。次に、政府の憲法解釈と内閣法制局の憲法解釈との関係を検討するために、フランス、ベルギー及びルクセンブルクのコンセイユ・デタの制度を明らかにし、その上で、フランス及びベルギーにおいては、政府はコンセイユ・デタの憲法解釈に拘束されず、独自に憲法解釈を行い得ることを明らかにした。この比較法的視点から、わが国においても、政府は内閣法制局の憲法解釈に拘束されず、独自に憲法解釈を行い得ると結論付けた。
|