本年度は本研究課題の最終年度にあたるところ、公表された研究業績としては、研究発表欄記載の雑誌論文7件がある。 特に、本研究課題と密接なかかわりを有するの⑦である。計画変更と国家賠償の問題を扱った本稿は国家賠償法のコンメンタールに収められる論稿であるが、国・地方公共団体が計画の変更・廃止を行った結果、私人が損害を被った場合にいかなる法律構成によって救済されうるかを考察したものである。行政法学においては計画担保責任として古くから論じられてきたテーマであり、昭和56年最判が示した判断基準がよく知られているところであるが、民法学における議論と併せ読むと近時の学説には若干の変動があり、今後の展望を行政過程論と国家補償論の見地からそれぞれ検討した。①は行政不服審査制度に関する文献の書評であり、②は第二次納税義務者による不服申立てに関する判例解説である。③と、④から⑥は地方財務・住民訴訟に関する判例研究および解説資料集である。 年来の研究テーマであるエリアマネジメントの公法学的研究についても一応の完成をみつつある段階にある。アメリカ・ドイツ・日本のそれぞれの立法動向を注視しながらの作業であるが、今秋には、学会報告や、研究論文の出身大学院の紀要への掲載を予定しており、それらの完了をもって本研究課題は終了となる。本研究課題遂行中に芽生えた新たな課題は、新規採択研究課題のもと、さまざまな観点から引き続き考察を深めていきたいと考えている。
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