研究課題/領域番号 |
26780022
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西本 健太郎 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (50600227)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 海洋法 / 国際法 / 大陸棚 |
研究実績の概要 |
国連海洋法条約上、沿岸国の大陸棚は領土の自然の延長をたどって大陸縁辺部の外縁に至るまで、または大陸棚縁辺部の外縁が基線から200海里の距離まで延びていない場合には基線から200海里までと定義されている(条約第76条1項)。沿岸国の大陸棚が200海里を超えて延びている場合(「延長大陸棚」)には、国連海洋法条約上設置された大陸棚限界委員会に自国大陸棚に関する情報を提出することになっている(同8項)。同委員会による勧告に基づいて設定した大陸棚は、「最終的なものとし、かつ拘束力を有する。」 本研究では、大陸棚限界委員会における沿岸国の申請の検討及び最近の海洋境界画定事件における「自然の延長」概念の2点から、大陸棚制度に関する最近の展開について検討を行った。前者については、大陸棚限界委員会が第三国からの口上書を受けて沿岸国による申請の検討を先延ばしにしている実行を検討し、こうした取り扱いが国連海洋法条約上予定されたものではなく、また大陸棚限界委員会に条約上付与された任務・機能とも整合しないものであることを明らかにした。また、後者について、近年の海洋境界画定事件の判決における「自然の延長」理解には、従来の理解とは異なる要素が見られるようになっていることを明らかにした。 本研究は、大陸棚制度の現代的理解に寄与するものであるとともに、実務的な意義も有する。大陸棚限界委員会は、中国・韓国からの口上書を契機に、沖ノ鳥島とパラオの間の海域である九州パラオ海嶺南部海域については勧告を行う立場にないとの判断を行っており、委員会の手続に関する検討は同海域の今後を考える判断材料になる。また、大陸棚制度における「自然の延長」概念の位置付けの変化の検討は、東シナ海における日中韓の海域主張の今後を検討する上での基礎的な研究となるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題1年目である今年度の研究成果としては、大陸棚限界委員会の実行の検討を中心とした延長大陸棚設定の手続面及び「自然の延長」概念の検討を中心とした延長大陸棚制度の実体面の双方について、口頭発表を行った。研究課題の最終年度となる次年度には、既に口頭発表を行った内容を基礎に論文をとりまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
大陸棚限界委員会の実行を中心とした延長大陸棚に関する最近の展開に関するこれまでの検討を継続し、検討結果を英文の論文にとりまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文論文の発表に関連する費用を見込んでいたが、発表時期が次年度となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度にとりまとめる英文論文の発表に関連する費用として使用する。
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