本研究では、3つの側面から大陸棚制度の新展開について検討を行った。第1に、大陸棚限界委員会における手続の機能、第2に、大陸棚の根拠としての自然の延長概念の内容についての理解の展開、第3に、海洋境界画定における自然の延長概念の役割、である。大陸棚限界委員会がその活動を本格化させ、延長大陸棚の様々な側面が具体的に問題化する中で、大陸棚制度にとって重要な展開が生じてきている。特に、大陸棚制度の根拠である「自然の延長」について、延長大陸棚の境界画定に関する判決及び大陸棚限界委員会の実行の中で形成されてきた国連海洋法条約第76条4項を重視する理解は、同概念の理解の変化を示している。
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