2017(平成29)年度は補助事業期間の延長を行い、2015(平成27)年に成立した平和安全法制における国際平和協力法制に焦点を当て、2017年5月に活動を終了した自衛隊の南スーダン・UNMISS派遣に至る展開を踏まえながら考察を行った。特に改正・国際平和協力法と新規立法となった国際平和支援法の意義と課題について、国際平和活動の潮流を踏まえながら分析を行った。 上記研究の成果は、「国際平和活動の潮流と日本の国際平和協力法制―平和安全法制の整備に至る議論を踏まえて―」『防衛法研究』第41号、2017年9月、21-44頁として公刊したほか、平和安全法制に係る研究会に参画し、本科研費の研究課題を通じて得られた知見を活用した。 本研究期間を通じて、現代国際社会における国際平和活動の実態と、国際の平和と安全の維持の分野に関わる国際安全保障法秩序が果たす役割を描き出すことを目的としていたが、研究期間中に成立に至った日本の平和安全法制の議論を採り入れて分析を加えたことにより、改正・国際平和協力法で活動が想定されている非国連統括型の活動や、国連平和維持活動(PKO)の変遷についても、その詳細を検討することができた。 その結果、現代の国際平和活動の実態調査を通じて日本の国際平和協力法制のあり方を考察する機会に恵まれたが、国際安全保障法秩序全体を俯瞰して捉え、その役割を考察する点は、今後の研究課題として残された。なお、集団安全保障体制に係る考察に関連して、包括的な先行研究である佐藤哲夫著『国連安全保障理事会と憲章第7章―集団安全保障制度の創造的展開とその課題』(有斐閣、2015年)の書評を執筆して公刊した。日本国際連合学会編『多国間主義の展開(国連研究 第18号)』国際書院、2017年7月、243-248頁。
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