国際刑事裁判所は条約で設立された国際組織であり、設立条約である国際刑事裁判所規程において締約国の協力義務は規程86条に明示される。規程は98条のように協力拒否事由を認めており、本課題の主要な論点は、規程98条の拒否事由との関連における国家の協力義務である。今のところ、安保理付託を契機とした非締約国の事態に関する協力義務は当該安保理決議の効果を根拠に認められるという国際刑事裁判所の判断の集積が見られる。国際刑事裁判所に対する協力義務の不遵守は同裁判所を機能不全に陥れ、それによって裁判所の権威や正統性が失墜すればさらなる非協力を招くという悪循環の構図を持ち、実効性と正統性は連関する。
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