研究課題/領域番号 |
26780028
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
黄 ジンテイ 帝塚山大学, 法学部, 教授 (50372636)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国際私法 / 国際民事訴訟法 / 国際離婚 |
研究実績の概要 |
東アジア地域(日本、韓国、中国、台湾)における離婚事件の国際裁判管轄と外国離婚判決の承認執行制度、子の引渡しと面接交渉などの問題を考察し、離婚の国際裁判管轄と外国離婚判決の承認要件の調和の可能性を模索し、上記地域における国際離婚の総合的な紛争処理と国際協力体制の構築を提言するという本研究の目的に向けて、平成28年度はこれまでの法制調査と分析結果をもとに、研究成果としての具体的提言をとりまとめる作業にかかった。 具体的には、まず日本の実践を踏まえて、中国がハーグ子奪取条約を締結する可能性を考察した論文を中国の学術誌で公表した。同論文では、ハーグ子奪取条約を締結した日本における条約実施法上の子の返還手続および裁判実務における取扱いと問題点を詳細に検討し、同条約の執行状況を紹介したうえ、中国における子の撫養者指定に関する法の現状と子奪取の実態を分析し、これらを踏まえて中国が同条約に加入する可能性を検討し、加入に伴う引渡し命令等の強制措置の整備が国内法の発展に有益であると主張した。 また、離婚の国際裁判管轄に関して、日本の判例法を紹介したうえ、国会にて審議中の人事訴訟法等改正法案における離婚の国際裁判管轄規定を考察した研究報告を香港大学で行った。 これらのほか、「中国国際私法の発展と課題」と題する研究報告を国際私法学会年次大会にて発表し、「日本国際私法の実用性特徴と中国法への示唆」と題する研究報告を中国国際私法学会のシンポジウムにて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最終的な研究成果を中国の学会で報告する予定であったが、研究代表者の体調不良により学会を欠席したため、成果の発表と公表を見送った。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画を変更し、研究期間を延長したうえ、研究成果の質をより高めるように調査研究を継続し、今年度中に学会等で最終成果を発表し公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の体調不良により海外の学会での研究発表をとりやめたため、未執行分が生じることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
調査研究の継続と、海外での研究成果報告に使用する予定である。
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