研究課題/領域番号 |
26780029
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
黒崎 将広 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 人文社会科学群, 准教授 (10545859)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国際法 / 国際人道法 / 武力紛争法 / 国際刑事法 / 国家責任 |
研究実績の概要 |
今年度は、国際人道法の重大な違反である国際犯罪の訴追処罰を扱った関係諸条約の非締約国の義務を国家責任条文の観点から模索した前年度の国際学会の報告とそこで得られた専門家たちのコメントをもとに、さらなる調査を踏まえて論文を執筆した。同論文は、英文書籍の一部を構成するものとして無事に査読を通過し、このたび、世界で最も権威のあるケンブリッジ大学出版局(Cambridge University Press)から出版されることが決定した。論文タイトルは、"The Fight against Impunity for Core International Crimes: Reflections on the Contribution of Networked Experts to a Regime of Aggravated State Responsibility", Holly Cullen, Joanna Harrington and Catherin Renshaw (eds.), Experts, Networks and International Law (Cambridge: Cambridge University Press, forthcoming)として、平成28年度中に公刊される予定である。
以上と並行して、国際人道法違反の被害者個人に対して国家責任法はどのような救済を提供できるのかについて調査を実施した。国際刑事裁判機関が被害者個人の救済を実現するメカニズムを発展させていく中で、伝統的な国家責任法はどのような影響をそこから受けているのか(あるいは受けないのか)について検討を進めた。
さらに、国際人道法違反の責任問題の前提的問題を扱うものとして、国際人道法の適用開始時期を扱う研究報告を日本国際法学会で行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに本研究の一部について前年度に行った報告を今年度は論文の形にし、査読を経て世界で最も権威のある出版社の書籍を通じて国外に発信することができた。さらに、本研究にかかる他の個別事例研究を引き続き進め、関係学会報告も実施している。以上に鑑み、「おおむね順調に進展している」との判断を下した次第である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き個別分野事例の特定のそのための資料収集を進め、研究報告と論文執筆に努めたい。とくに平成28年度では、国際人道法違反の犠牲者個人に対する救済に国家責任法は何ができるのか、さらに戦闘員資格を持たない者(不法戦闘員)による敵対行為への直接参加にかかる国家と個人の責任についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
翌年度以降の海外出張の機会を多くとることに備えて、今年度は使用を抑制した。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究の性格上海外出張が主軸となることから、引き続きこれを使用目的の中心に据えたい。
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