研究課題/領域番号 |
26780031
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
石崎 由希子 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (50547817)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 病気休職 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、主に本科研のテーマの関連領域について考察を深めることができた。病気休職からの復帰過程において、労働者の回復状況によっては、一定の配慮を前提とした復職について労働者と使用者とで合意できる場合もあれば、合意退職に至る場合もある。この合意退職についての法的課題について検討を行い、合意退職に至るプロセスについての規律が不十分であること、当事者が自由な意思に基づき自己決定することを支える制度が必要であるとの示唆を得ることができた。この検討結果については、論文の形での公表を予定している。また、育児休業からの復帰過程でなされた違法な退職勧奨が問題となった事案についての判例評釈の執筆は、上記の検討を深める上で有益な機会となった。さらに、復職時における配慮の内容・程度について、改正障害者雇用促進法が定める事業主の合理的配慮義務がいかなる影響を及ぼすかについての検討を行った。改正障害者雇用促進法及び同法を具体化した合理的配慮指針は、労働者と使用者との間の対話を促す点でプロセスに対する規律となるものであり、本研究の問題関心からも注目されるところである。 なお、本科研の成果として、平成26~27年度に公表した論文「疾病による労務提供不能と労働契約関係の帰趨‐休職・復職過程における法的規律の比較法的考察(1)~(5・完)」法学協会雑誌132巻2号~同10号について、平成28年10月に日本労働法学会奨励賞、同年12月に商事法務研究会賞を受賞することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は妊娠に伴う体調不良及び出産育児のため、研究成果は当初の予定よりも限られたものとなったが、日本法における関連領域の検討を行うことができたことにより、今後研究を進める上で有益な視点を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度はまず、障害者雇用促進法に関する上記検討結果について、論文の形で公表する準備を進めることとする。 また、今年度は昨年度実施できなかった海外調査を実施したいと考えている。育児(特に子の病気)等により支障が生じる場合には、データベース等の導入により可能な範囲でこれを補うこととする予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
妊娠期間中の体調不良及び産前産後休業および育児休業取得に伴う研究中断のため。また、海外調査を行うことができなかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
海外調査又は海外文献データベースの導入のために使用する。
|