最終年度においては、フランス法・ドイツ法・日本法の比較法的検討を行い、日本法の特色を明らかにする他、日本法に対する解釈論・立法論上の示唆を導くことを予定していた。そこで、2018年度は、これまでに得られた比較法的見地を踏まえながら、改めて、日本法の状況・課題についての検討・整理を行った。その成果については、今後公表予定である。 本研究を進める中で、障害者雇用に関する法制度との連接の重要性が明らかとなったため、この点についての検討を更に深めることとした。特に、2018年度においては、ドイツの障害者雇用を担当する行政機関(統合局)や作業所等において聞き取り調査を実施することができた。現地では、障害者の一般就労推進に向けた法政策や2016年の社会法典第9編(障害者法)の改正の意義や課題、その運用についての意見交換等を行った。こうした海外調査の成果についてはダイバーシティ就労研究フォーラム海外状況整理部会及び企業人も多く参加するダイバーシティ研究会で発表済である。 また、前年度に引き続き、「働き方改革実行計画」において取り上げられた「病気の治療と仕事の両立」に向けた法政策の意義と課題についても考察を行い、その成果を公表しているが、この点についての理論的分析は、今後の研究においてさらに発展させていく予定である。その際、本研究においてもその重要性を認識しつつ、十分な検討を行うことができなかった労働安全衛生法制についても分析を行う予定である。
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