本研究では、反競争的行為が最終的に適法と評価されるかという正当化事由の問題について、効率性の抗弁を中心としてカナダや我が国の法制度に主眼を置きつつ総合的に検討を行った。 まず、効率性の抗弁を定めるカナダ競争法96条に着目し、カナダ最高裁判所判決やカナダ競争局ガイドラインを翻訳・検討し、その立法の契機となった報告書、議会における審議、判例等による事後的な評価を読み解いて、効率性の抗弁の根拠が消費者の利益を踏まえて歴史的に変容していることを考察した。 また、様々な判例等の検討を通じて、不当廉売規制、安全性の確保、行政指導等の文脈で問題となる考慮要素と正当化事由の関係についても分析を進めた。
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