研究課題/領域番号 |
26780035
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
井畑 陽平 椙山女学園大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80467406)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 独占禁止法 / 取引における「不公正」 / 米国反トラスト法 / EU機能条約102条 / FTC法5条 |
研究実績の概要 |
本研究の目的とは、わが国独禁法の母法である米国連邦取引委員会法5条に基づき「不公正な行為・慣行」として規制された先例と、EU機能条約102条に基づき不公正であるとして規制された消費者搾取型濫用行為にかかる先例との分析を主としながら、従来、便益と費用という分析になじまないため、その内容の検討が十分にはなされない傾向にあった「公正性」にかかる理論的基礎について、明らかにすることである。平成27年度は、米国法並びにEU法における実務及び学説の動向に関係する調査・研究を進めた。年度前半は、とりわけ、米国における最新の実務及び学説の動向把握に努めた。具体的には、本研究の代表者は、過去にFTCの消費者問題担当者にインタビューを行い、研究を進める上で極めて有益な一次資料の提供を受けた経緯があったことから、今回もまた、本研究に関する資料提供でFTCの協力を得ることができた。現時点で提供された資料の分析は途上であるが、本研究に関わる米国法およびEU法上の実務的な論点について示唆を得られると期待している。年度後半は、米国法における不公正概念の相対化を図るべく、EU法における不公正概念の理論的基礎を考察する上で必要な先例の収集と分析に重点を置いて研究を進めた。具体的には、不公正概念の外延を検討するための素材として、EU機能条約にかかる先例を収集した。すなわち、EU機能条約102条等で禁止されている (消費者)搾取型の市場支配的地位の濫用行為にかかる先例を中心的に分析した。 ここまでの中間的な研究成果について、平成28年中に、関西独禁法研究会で成果を報告し、その後の研究期間における研究目標の再検討に生かすものとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究の目的」の現在までの進捗状況について、おおむね順調に進展している、と自己評価した理由は、以下の通りである。 本研究が対象とする分野では、法規制、実務、そして研究面において、常に新しい動きがあることを考慮すると、検討の対象としていた制度的枠組みが大きく変容したり、あるいは、より重要な検討対象が生まれるという事態もあり得るところである。このような事態に対しては、当該変容の過程で行われる議論や当該対象に関する外部での議論をも本研究の検討対象に取り込み、その適否を検討した上で独自の分析を進める必要がある。また、本研究を進めていく過程で、状況の変化によっては、外部の研究者の専門性を活用する等の必要が生じる可能性がある。こういった事態については、随時、必要となる専門性を持つ外部の研究者の協力を仰ぐなど、柔軟に対応する姿勢で臨んでいる。 平成27年度末の時点では、引続き、研究機関を通じて、判例等の一次資料及び論文・著書等の研究課題に関連する二次資料について、最新のものを入手できている。また、公正取引委員会競争政策研究センター(CPRC)を構成する学者・実務家メンバー等との討論を通じて(本研究の代表者は、平成28年度から再度CPRCメンバーとして活動する予定でもある)、研究を進めるにあたり取り組むべき課題やその対処方法の適正性についても担保されていると考えている。以上に加えて、平成27年度中に、旧知のFTC担当者を通じて入手できたFTCの関連資料が、本研究課題の遂行上、非常に有益であったと考えている。 当初の計画以上に進展していると評価しなかった理由は、ここまで得られた成果をまとまった論文として公表する作業が途上にある(ごく部分的には、別途公表された業績がある)ためである。引続き、鋭意研究を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策は、次の通りである。 すなわち、本研究の研究遂行にあたり、3年間にわたる本来は1つの研究を複数の段階に分け、それによって、単年度ごとに研究成果が出るようにしたことである。本研究は、3年間の研究期間を、第一期(平成26年度)、第二期(平成27年度)、そして第三期(平成28年度)に分けて遂行されている。 各期を通じて、一定の成果が得られた各段階で調査報告という形で、複数の研究会において報告・発表し、さらにその過程で得られた知見をふまえて論文として公表し、それらに対する意見を積極的に求めている。こうすることで、そこまでの研究の客観的な位置づけをうるとともに、独善とならないよう十分に努め、次期の研究の方向性の適切さを担保しつつ、研究を遂行できると考えている。 平成28年度は、本研究について助成を受ける最終年度である。年度を通じて、本研究によって得られた成果をわが国に応用可能な形で具体化させる作業を行う。すなわち、競争の観点から抑止することを正当化する不公正概念の理論的基礎とは何か、を明らかにする解釈論を展開し、実践的に解決が要請されている個別的課題についての考え方を提示する論文・報告書を執筆・公表する。併行して市民向けの講演の機会(応募者も講師を務める愛知県生涯学習講座等)を活用し、本研究の成果を、わかりやすくかつ広く社会に還元したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額として、4504円生じた。これは直接経費と間接経費とを合計した平成27年度に予定された総額の0.49%に相当する。おおむね、許容される範囲に収まるものと考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度も、研究成果の部分的な公表を予定しているため、その経費の一部に優先的に充当したい。
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