研究課題/領域番号 |
26780039
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
津田 雅也 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (80633643)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 刑事法学 / 少年法 / 少年の刑事事件 / 刑事責任年齢 / 少年に対する刑罰 |
研究実績の概要 |
全研究期間3年のうちの2年目である平成27年度は、アメリカにおける「均衡のとれた修復的正義モデル」に関する文献調査、成果発表等を予定していたところ、下記の実績を挙げることができた。 1.文献調査 少年法の専門家による定評あるテキスト(Feld, Juvenile Justice Administration (3rd. ed. 2014))等の文献を活用して、アメリカにおける少年司法の変遷過程について調査を行ったほか、アメリカの少年法の教科書、司法省のウェブサイト等にて「均衡のとれた修復的正義モデル」に関する文献調査を行った。 2.成果発表 研究課題である「均衡のとれた修復的正義モデル」の分析を含む論考「少年法における「犯罪対策の要請」と「保護・教育の要請」の調和についての予備的考察-アメリカにおける少年司法モデル論」を素材として-」立教法務研究9号(2016年3月)233-247頁を公刊した。同文献においては、上記の文献調査で得られた成果を基礎として、アメリカにおける少年司法モデル論の変遷過程を素描し、わが国少年法の解釈に際して、少年司法モデル論が有用なツールであることを示した。また、2016年3月19日(土)には、日本刑法学会仙台部会(於東北大学)において、少年司法モデル論を含む研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究計画の概要」に示した通り、文献調査、成果発表について、交付申請書の研究計画にほぼ従って、研究を進めることができていることから、「おおむね順調に進展している」と考えられる。 なお、平成27年度には実施を予定していたアメリカ調査を実施できなかった。これは、平成27年4月より研究機関を異動し(東北大学→静岡大学)まとまった出張期間を取り難かったことが主たる理由であるが、文献調査(米司法省公表の統計データ、政策調査等)においても、ある程度代替可能であることが判明したことも理由の一つである。アメリカ調査については、最終年度に必要に応じて実施することも可能であることから、研究への影響は大きくないと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書において、平成28年度(最終年度)は、成果発表を最重要課題であると位置づけている。したがって、平成27年度に公刊した論文で扱えなかったテーマについて論文を発表し、研究内容を総括することを最大の目標とする。9月いっぱいまでには文献調査を終わらせ、年内には論文を執筆し、年度末には公刊するスケジュールで進めていく。 なお、平成27年度に実施予定であったアメリカ調査については、上記の通り、必要に応じて、その実施の可否を判断することとしたい。場合によっては、文献調査の補完として、メール等で担当者にインタビューをするという方策も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に実施予定であったアメリカ調査が、研究代表者の研究機関異動により実施できず、海外旅費に相当する金額が平成28年度に繰り越されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
「今後の推進方策」において示したように、平成28年度にアメリカ調査を実施するかどうかは必要性を検討の上判断するが、次年度使用額は、①アメリカ調査実施の場合はこれに充当し、②アメリカ調査を実施しない場合は文献調査(アメリカ少年法の研究書購入)にこれを充当することとする。
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