研究課題/領域番号 |
26780041
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大貝 葵 金沢大学, 法学系, 准教授 (90707978)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 責任能力 / 弁識能力 / 保護処分 |
研究実績の概要 |
少年の責任能力についての研究を行うにあたり、現在の日本において、保護処分を賦課するにあたり責任能力を要するか否かにつき、学説を整理検討した。 日本への示唆を得る目的で、フランスにおける弁識能力概念の検討に着手した。具体的には、フランスにおいて初めて少年法が導入された1912年時点における、刑事無答責原則を素材に、フランス少年法における弁識能力と保護処分との関係性がいかにとらえられていたのかについて検討した。 検討に際しては、1912年法導入時の立法資料を参照したほか、1912年法の概説書、1912年当時の刑法の概説書に基づき、学説の議論状況を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
26年度前期に妊娠し、26年度後期途中から産休を、27年度前期いっぱい育児休暇を取得したため、研究が中断した。 また、27年度後期においても、育児のため、当初の計画通りに渡仏し、聞き取り調査および資料収集を行うことができず、研究が大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、フランス少年法における弁識能力概念に対する学説および判例の変遷を、資料を中心に検討する。 具体的には、第一に、1912年法以前の弁識能力概念のとらえられ方をについて確認する。第二に、1942年法および1945年法における同概念につき検証する。第三に、1956年の代表判例における理論展開および学説を比較検討する。第四に、2002年法における弁識能力概念再導入時の争いにつき確認する。 これらの弁識能力概念の検討を踏まえて、日本における責任能力概念への示唆を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度後期産休のため、27年度前期育休のため、27年度後期育児のため、大幅に研究が遅れたことにより、未使用額が生じている。 育児中のため、当初予定していた渡仏による聞き取り調査等が、十分に行えていないほか、国内研究会への参加も困難なため、予定していた研究費も未使用の状態となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
育児の状況はあまり改善が見込めないために、今後も、年1回の渡仏および年3回程度の研究会および学会参加となることが予測される。 そこで、研究期間延長も視野に入れつつ、当初の計画を順次進めていくこととする。
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