ドイツ刑法典等に規定されている条件付親告罪制度は、原則は被害者等の告訴がなければ刑事訴追できないが、例外として検察庁が「刑事訴追に対する特別な公益」があると認めると告訴がなくても刑事訴追できる制度である。本研究では、この概念を素材に、刑事司法において「公益」概念の果たす役割および犯罪被害者の権利の本質と限界を探った。 性犯罪は、親台罪よりも非親告罪の方が適切であるが、非親告罪よりも適切な選択肢として、条件付親告罪制度(または条件付異議申立制度)を検討すべきである。著作権等侵害罪は、ドイツの条件付親告罪制度とドイツ語圏各国で導入している「業として」行う場合の処罰規定等を参考にすべきである。
|