フランスにおいては、2012年9月25日、破毀院が海洋油濁事件において環境侵害により環境それ自体に発生した損害(環境損害)が賠償の対象となることを承認した。しかし、環境損害の救済には、賠償の範囲や方法、賠償金の使途など、なお、理論的に困難が残されていることから、解釈論および立法論の両次元から問題の克服が目指されている。 わが国においても、市民のイニシアティブによる民事訴訟を通じた環境利益の保護において、現行民法の解釈による対応の限界と立法の関与の必要性が指摘されていることから、本研究においては、現在のフランス法におけるこの問題への取り組みを参照した。
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