研究課題/領域番号 |
26780057
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
生駒 俊英 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(総合グローバル), 准教授 (00514027)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 離婚 / 子の福祉 / 婚姻住居 |
研究実績の概要 |
今年度は、研究会及び学会での報告を行うことを目的として、これまでの研究の成果のとりまとめを行った。内容としては、日本法におけるものとして、①本問題に関する議論の経緯、②学説、③裁判例について、ドイツ法におけるものとして、①制度の変遷、②離婚時の婚姻住居の取扱いについて、とりまとめた。 その中で、特に今年度の成果として取り上げておきたいのは、ドイツにおける「子の福祉」について考慮される事項について、コンメンタール及び裁判例から検討した点である。ドイツの裁判例からは、「子の福祉」の考慮の下、子の配慮権を有する親が婚姻住居を割り当てられる事が多いものの、必ずしも自動的に婚姻住居の利用権が設定されているわけではない事が分かった。最近では、代替住居が望み得る場合は、そちらを探すことも要求されており、利用権の期間設定についても、子の年齢如何から設定するというよりは、所有者の権利との関係から設定されていた。また、日本とドイツにおける「子の福祉」に関する考慮事項については、さほどの違いがないことが分かった。しかし、ドイツでは結果として子の配慮権を有する者が、その子とともにその住居に居続ける、又は近隣に住む事が多くあり、婚姻住居に住み続ける場合には、民法上賃貸借関係等を設定することも可能となる。しかし一方わが国では、環境等を考慮するとしつつも、親権者又は監護者と住居とは必ずしもリンクしてこないのが現状であった。これらの点を踏まえると、改めて日本でも離婚後、住居の利用の為の制度創設の必要性が理解できた。 以上の点を踏まえて、研究会(ドイツ家族法研究会、関西家事事件研究会)及び学会(日本家族<社会と法>学会)において報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、昨年度の反省を踏まえて、研究会及び学会での報告を行った。ただ、報告のための準備に時間がかかった為、頂いた御指摘を研究に反映させる時間がなかった。この点は来年度に行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、研究会・学会で頂いた御指摘を踏まえて研究を進め、最終年度としてこれまでの成果の公表を行い、締めくくりたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、研究会及び学会の報告準備に想定より時間を多く費やした為、当初予定していた海外調査を行う事が出来なかった為。
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次年度使用額の使用計画 |
研究会及び学会においてご指摘頂いた点に関する、研究の為の資料購入費用に費やす。
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