本研究では、EU及び日本に於ける裁判外紛争解決手続(ADR)の成功の違いの背後にある主要な原因を十分に特定することができた。とりわけ、私的に運用されつつ国家に監督されるADRが発展するかについての明確なパターンを特定した。EUでは立法的手段(例えば合意の執行可能性)及び非立法的手段(例えば、ADRに関する教育活動を通じてADRが強力に推進されている一方、日本は、とりわけ立法的措置が関わる場合には、ヨリ注意深い政策を採っているといえる。最近2015年の展開では、日本は私的に運用されるADRを強化することに関心を示していないことが確認され、また法制度の改正に関わる議論にもその方針が反映されている。
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