本研究の目的は、離婚後の親権行使及び面会交流のあり方を、共同親権制度を視野に入れつつ再検討することであった。 1年目には、文献に基づく研究と並行して、年度末にドイツに赴いてヒアリング調査を実施した。共同親権の運用、単独親権の場合との相違、さらに近年ドイツ国内で盛んに議論されている交替モデル等に関して、家族法の研究者、裁判官、少年局、ドイツ少年援助・家族法研究所に各立場の見解を伺った。これにより、今まで具体的に知ることのできなかった点が明らかになり、2年目以降の研究の土台をつくることができた。 2年目は、1年目の調査・研究から見出された課題について、研究を継続した。当初は3年目にドイツでの現地調査を実施する予定であったが、それを前倒しで行った関係で、研究計画が多少前後することになった。 3年目は、それまでの研究成果を11月の家族〈社会と法〉学会で報告した。この際、親権のあり方と養育費の関係に関しても質問をいただき、重要な点であることを再認識した。 最終年度の4年目には、上記学会報告の際に明らかとなった課題につき研究を深めたいと考え、その点もテーマに含まれる国際家族法学会(7月、オランダ)に参加した。また、10月には3年目で行った上記学会報告の内容にその後の研究成果を一部追加した論文を学会誌で発表した。また、比較法研究という性質上、日本の面会交流の動向も押さえる必要があり、その過程で判例評釈を3件公表した。
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