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2014 年度 実施状況報告書

契約書面の機能・類型論的研究――「契約書面法」構築に向けての基盤整備として

研究課題

研究課題/領域番号 26780066
研究機関早稲田大学

研究代表者

山城 一真  早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (00453986)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード民法 / 契約法 / 契約書面 / 比較法 / 意思表示理論 / 証拠法
研究実績の概要

本年度においては、本研究を遂行するために必要な準備的調査を進めることを計画し、(1)従前の研究成果を取りまとめ、(2)契約において書面が一定の機能を果たしている様々な場面を、わが国の現行法の諸規定に即して分析し、その類型化を図るための検討を進めてきた。
これらのうち、(1)については、契約締結過程の法的規律を主題とする単著を公刊するとともに、情報提供義務論等についての考察を行い、若干の成果を公表することができた。さらなる考察を要する点は残ったものの、この点についてはおおむね計画どおりに研究を進めることができたと考えている。
(2)については、電子的方法による意思表示につき、日本法における議論状況を整理する作業を行って概説(仏語)を執筆したうえ、裁判例に即して錯誤法理の適用に関する若干の検討をも行った。この問題については重要な先行研究が存在するものの、問題の所在さえ解明されていない点も少なくない。本年度の研究によって得られた成果は、今後の考察を深めるための端緒とはなり得ると考えている。
ただし、本来予定していた現行法の網羅的検討については、不十分なところが残った。個別の法領域についての検討を進めはしたものの、考察対象として抽出した特別法の制定経緯・規律内容が多様であり、それらを整理・類型化するにあたってどのような分析視角を設定すべきかにつき、有効な作業仮説を定立することができなかったからである。そのため、2014年度終了時点では、次年度以降に予定していた外国法研究の一部を先行させ、方式主義を採用する各種規定をどのような観点から類型化することができるかを検証し、これによって日本法を整理・分析するための枠組みの設定するための検討を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「概要」欄記載のとおり、当初、2014年度においては、現行日本法の網羅的検討とそれに基づく分析枠組の定立を予定していた。しかし、年度終了時点においても、十分に有効な作業仮説を得るには至らなかった。研究の経過に沿ってその理由を述べると、第一に、当初、日本法の諸規律を網羅的に収集したうえで検討に着手し、その規律内容の類型化を試みたが、その結果として得られた視点は複雑に過ぎ、明瞭な分析視角を得られなかった。第二に、この問題点を克服するために、外国法における方式主義研究の成果を参照しつつ(これは、当初は次年度以降に予定していた研究である)、一応の類型を定立する方法を採用することを考えた。しかし、わが国の特別法上のルールには、わが国固有の事情に根差すと思われる規律が少なくないため、これによっても所期の成果を得るには至らなかった。
以上のとおり、2014年度においては、一方で、次年度以降に計画していた研究を先行させたものの、他方で、本年度内に一応の見通しをつけることを計画していた研究を終えることができていない。そのため、全体として、本研究の進捗はやや遅れていると考えている。

今後の研究の推進方策

2015年度においては、2014年度内に終えられなかった研究を継続し、これについてできる限り早い時期に(年度前半を目途に)一定の見通しを得ることを目指す。当初の計画とは異なる進行方法を採用することとなったものの、本年度以降に計画していた研究を前倒し的に進めた点もあるため、計画全体との関係でいえば、検討順序の入替えを行ったにすぎず、2015・16両年度に予定していた比較法研究を終了する段階までには、3か年を費やして行うことを計画していた研究は終えられるものと考えている。したがって、現段階において当初計画を見直すことはせず、当面は、従前同様の方法で研究を継続することとする。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] インターネットによるFX取引における為替レートの誤表示をめぐる法律関係2014

    • 著者名/発表者名
      山城一真
    • 雑誌名

      現代民事判例研究会『民事判例』

      巻: 9 ページ: 80-83

  • [雑誌論文] 契約交渉段階の法的責任2014

    • 著者名/発表者名
      山城一真
    • 雑誌名

      瀬川信久編『債権法改正の論点とこれからの検討課題』

      巻: 別冊NBL 147 ページ: 139-172

  • [図書] 契約締結過程における正当な信頼――契約形成論の研究2014

    • 著者名/発表者名
      山城一真
    • 総ページ数
      508
    • 出版者
      有斐閣
  • [図書] 吉田克己=マチルド・ブトネ編『環境と契約』2014

    • 著者名/発表者名
      (翻訳)サンドリーヌ・マルジャン=デュボワ「多国間投資契約の策定・実施と環境保護」
    • 総ページ数
      16
    • 出版者
      成文堂
  • [図書] 集団的消費者利益――消費者団体への「利益帰属」構成をめぐって2014

    • 著者名/発表者名
      山城一真
    • 総ページ数
      24
    • 出版者
      商事法務

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公開日: 2016-06-01  

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