本研究においては、契約書面が多様な法領域において果たす機能を考察し、これを類型化することを目的とする考察を行った。もっとも、類型を提示する前提としては、各個の領域における具体的規律の例を精査する必要があるため、当面の成果としては、フランス法との比較研究を主なアプローチとして、個々の領域において契約書面が果たす役割を考察するにとどまった。その成果として、契約当事者の意思と書面との関係を分析し、法律行為・意思表示理論における「表示」の位置づけを考察したほか、消費者取引における広告の機能、契約当事者が差し入れる書面の法的性質の認定における裁判所の役割等の問題についても一定の見通しを得た。
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