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最終年度である本年度も多数の論文を公表し、学会報告をすることができた。成果は、主として著作権法分野に係るもの、特許法分野に係るもの、知財分野の全般に係るものの3つに分けることができる。
著作権分野については、本科研の中心的テーマである著作物の流通の円滑化に係る論文を公表し、学会発表もすることができた。これにより、著作物の流通と著作権法の基本構造の関係性とを明らかにし、著作権法の将来にわたる解釈論的・立法論的な観点からの設計を行う際の基本的な考え方を明らかにすることができた。著作権分野において流通の円滑化は社会的な関心も高い事項であるが、その検討の基本的視点となる学術的な視座を提供できたことは、本科研の重要な成果と言いうると考えられる。
特許分野においては、主に医薬品に係る特許を中心にしつつ、医薬品の適切な流通とその前提となるイノベーションの促進において、望ましいと考えられる特許法の在り方の全体像を描き出すことに、ある程度貢献できたと考えている。
最後に、知的財産法分野における法解釈論の在り方について記した一連の業績も上げられる。本科研の主たるテーマは、減少論的な観点からの法制度の在り方であったが、その研究の過程で、立法と司法の役割分担や、その一環として法解釈方法論の在り方に焦点が当たる場合も少なくなかった。そのような研究の深化を受けて、本科研の成果の一環として、知的財産法分野における法解釈論についての論文をまとめることができた。これはいわば、副次的な産物であるが、今後の研究につながるという意味でも、重要な成果の一部をなすものといえる。
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