研究実績の概要 |
最終年度は、2016年大統領選挙の本選挙について民主党(フィラデルフィア)および共和党(クリーブランド)の全国党大会での現地調査と聞き取り調査をもとに、政党や候補者のアウトリーチ戦略の特質を観察した。民主党側では、TPPをめぐる党内分断を決定的にし、民主党敗北を誘発した党内分断の要因に焦点を絞った分析を行った。労働組合、消費者団体、環境団体の3つの組織への聞き取り調査およびバーニー・サンダース陣営、ヒラリー・クリントン陣営の政策の検討を雇用と文化的アイデンティティをめぐる政党連合形成の問題点の視点から掘り下げた。また、共和党側ではトランプ旋風に象徴される共和党内の反主流派の動力をめぐるアウトリーチ戦略の諸相を中心に分析した。「反不法移民」が人種カードとして, また「反エリート」が文化的階級カードとして反動的な記号的作用をもたらした現象を共和党の党派的支持者、ティーパーティ系活動家、新規のトランプ支持者の各者への聞き取り調査などで確認した。
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