政治家の政治活動とキャリア形成について明らかにするために、本研究では、国会議員や地方議員の活動とそれに対する有権者の評価に関するデータを収集し、実証的に分析した。最終年度においては、東北地方における市町村議会議員を対象とするサーヴェイに基づき、被災地における地方議員の活動について分析した論文を英文学術雑誌(Natural Hazards)に投稿し、受理された。さらに、被災地における地方議員に対する有権者の信頼感についてサーヴェイデータを分析し、その結果を米国の学会で発表した。今後は、地方議員と国会議員の関係について、収集したデータをさらに分析する予定である。また、政治家がキャリアを形成する上で有権者から十分な支持を受け、選挙での当選を重ねることが重要となるが、有権者の政治家に対する評価が、性別や政策上の立場によってどのように異なるかを明らかにするために、上記のサーベイに加えて、日米両国でサーベイ実験を行った。すでに政治家のキャリアや性別によって、国会での政治活動(議会での発言や議員立法、質問趣意書の提出)がどのように異なっているのかについてデータの分析を行ってきたが、それらの結果をもとに、サーベイ実験によって、どのような政治家が選挙でより有利になるのかを明らかにした。そのうち、日本での実験結果については、、ハーバード大学やUCLAなどで研究発表を行った。米国での実験結果については、論文としてまとめ、英文学術雑誌(Journal of Politics)に投稿し、受理された。また、これらのサーベイ実験結果の分析作業に並行して、国会議事録のテキストデータの収集を行った。周辺諸国からの脅威が日本の国会での議論にどのように影響しているのかを分析するにあたって、今後これらのテキストデータを用いる予定である。
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