研究課題
本年度は、第一に、介護、医療、まちづくり等の縦割り政策の発達によって生じる政策領域の重複や空白を解消するために、地域において展開されてきた政策領域横断的かつニッチな取組みについての理論化をさらに進展させた。また、これまでは地方自治体における事例研究が中心であったが、本年度は、日本特有の制度的要素を取り込み、介護保険制度や関連する高齢者施策・医療制度・まちづくり施策とこうした地域の新奇的な取組みとの接続について分析を進めた。理論化においては、社会構造の移行を複数政策横断的かつマルチレベル(ローカル、ナショナル、グローバル)で捉える一連のトランジション研究領域を参照した。本研究領域は、元々オランダをはじめとするヨーロッパにおいて、エネルギー、環境、交通等の分野での持続可能な社会構造の転換を分析対象としてきたが、近年、同研究の適用領域を福祉や医療分野へと拡大する試みがある。本研究においても、高齢者政策という観点から、日本ならではの福祉国家のトランジションの理論化を試みた。またその成果について、これまで継続的に調査を行ってきた東近江市の取組みをケーススタディとした英語論文を刊行した。第二に、高齢化する地方都市のまちづくりの新たな方向性として、富山市のコンパクトシティ政策の新展開を調査分析し、CO2排出削減と集住の関係について論点を整理した論文を刊行した。さらに、今後も行政組織間や政策分野間における調整の構造について研究を進めるため、イギリスを含む海外の高齢者施策等の最新の理論や実例の調査を行い、学会報告等を予定している。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Technological Forecasting & Social Change
巻: Special Issue ページ: 1-10
10.1016/j.techfore.2018.01.026
環境情報科学
巻: 46 ページ: 41-46