三年間にわたる「規範的秩序構想としての憲法パトリオティズム」の研究をとおして、以下のことが明らかになった。第一に、憲法パトリオリズムの構想が決して現実を無視した抽象的な理論に終始しているわけではなく、むしろ政治理念の現実化をとおしての「憲法文化」の形成というプラグマティックな問題領域にかかわるものであるということ、そして第二に、憲法パトリオティズムがナショナリズム的な言説に親近性を示しつつも批判的な見地に立ち、「憲法文化」形成のための間主観的な「場」を確保するために熟議民主主義のモティーフに依拠しつつものそれに方向性を与えるモメントになっているということである。
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