研究課題/領域番号 |
26780086
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中村 悦大 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (10432783)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 投票行動 / 政治過程論 |
研究実績の概要 |
平成26年度は計画通りモデルについて検討を行った。その結果を日本選挙学会(2014年6月)「真理子の政党支持 」として報告し、それを愛媛法学会雑誌に「有権者の政党支持の更新に関するモデルの一試案」(41巻1-2合併号 pp.31-64)として掲載した。このモデルでは、有権者を先行研究同様、ベイズ的な学習を行う存在であると仮定しながら、その学習の量やタイミングに関しては選挙に向けて有権者が自発的に調整していると仮定した。この場合、有権者の意思決定は、先行研究に見られるような状態の推定問題ではなく、最適制御の問題(具体的にはLQG問題)として有権者の学習をとらえ直すことができる事を示した。この場合、有権者は選挙直前の最終期における政党支持水準の最適化に目的を絞ることにより情報取得のためのコストを大幅に低減させることが可能となる。しかし、最終期のみにおいてすべての政党支持の水準をコントロールするのは当該期に負荷が大きくなりすぎる可能性があるので、数期前から政党支持水準を調整し始める。またその中でも有権者が政党間能力差がどのようなプロセスに従っているのかを理解しているのかによって、政党支持をアップデートし始める時期が変わるということが分かった。 また、ソフトウェアや購入できるデータなどを購入し、研究の基盤を整えた。加えて、数理ソフトの使用方法などまだこれまで十分に知識を得ていない部分についての勉強を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定では26年度に論文を雑誌に発表する予定はなかったが、実際には研究が進展したため論文を発表した。ただし、海外の学会において発表は行わず国内の学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
選挙権年齢が引き下げられる観測のため、今年度は来年度に向けて、高校生に対する予備調査を行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では20歳で初めて選挙権を得た学生の選挙行動を検討する予定であったが、選挙権年齢が18歳に引き下げられるとの観測に伴い、研究対象となる学生が大学生から高校生へと変更される。それ故に所属大学の学生ではなく外部の調査対象となるため、調査費用が多くなると予想された。
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次年度使用額の使用計画 |
調査謝金、また保護者への同意書等の郵送などに利用する予定。
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